階段を何段上がったか覚えていますか?

 失敗学の畑村先生の書籍で、こんなことも書かれていました。
先生が若い頃、どこかの会社の役員の方と懇意になってあるとき、こんなことを言われたそうです。
「君は2階のこの部屋に来る時に、階段を何段上がったか覚えていますか?」
畑村先生は何段あったかは分からなかったけれど、「1段25cmぐらいとし、この建屋の1階あたり4mとして16段前後です」といったような回答をしたそうです。
役員の方は「合格です」と言われ、「1段を30cmとしたような回答は不合格です」と話されました。30cmとなればとても高い階段で、人が上がり降りするには高すぎるので数値を正しく把握していないからです。それだけではなく大事なことは、分かっている数値から求められている数値を求めれるということです。
分かっている数値とは階段1段がだいたい25cm前後であること、建屋の1階が4m程度であること、この2つの数値を使って求められている階段の段数を計算して求めることです。

 そのときの私の回答はあまり良く考えず、階段1段をざっと30cmとして計算しました。この時点で不合格です。「階段の1段の数値を認識していないなあ」と、そのとき考えさせられました。そのことを知ってから数値を正しく把握することに注意が向くようになりました。
ちょっとしたことですが、分かっていないことに気づかないものです。

(注:上の数値は書籍で確認していませんので、多少違っているかもしれません)

追記:
出典は、岩波新書「数に強くなる」畑村洋太朗 P68 です。25cm→20cm、4m→3mでした。

大事なことは「作る」という動作ができるかどうかということで、
「たとえ知らなくても、作る努力をしなくてはいけない。必要な数は、見たその場で作れなくてはいけない」
となっています。

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